長野駅からアトリエ近辺を通って斑尾山頂へと至る、「あまとみトレイル」が一部開通しました。
自宅近辺がトレイルになったため、自分もハイカーのためにできることがあればしてみたいと思っています。
この記事では、スルーハイキングではかかせない「トレイルエンジェル」や「トレイルマジック」について解説しています。
アメリカのPCTでは、トレイルマジックが至るところに
トレイルエンジェルとは
ハイカーをトレイルヘッドへ送り届けてくれる
トレイルエンジェル:ハイカーをサポートする人たちのこと。
- ハイカーのための寄付制の宿泊施設を運営
- トレイル上に水や食料などの補給所(トレイルマジック)の設置
- 街とトレイルまでの送迎
など、ハイカーが安心して歩けるようにさまざまなサポートをしている方々。
経済を潤すハイカーと、見返りを求めないトレイルエンジェル
PCT Daysというお祭り、たくさんのハイカーで賑わう
トレイル上で素晴らしいおもてなしを受けたあと、「なぜトレイルエンジェルは好意でハイカーをサポートしているのか」と考えながら歩きます。
確かに、ヨーロッパのカミーノのように、ハイカーのサポートがビジネスとして成立している場合もあります。
観光客が滅多に訪れない田舎町では、ハイカーの宿泊費や飲食代は大きな利益を生み、ハイカーウェイブ(大量のハイカーたちが一気に街に降りて消費していくさま)に依存する村もあります。
地元民にとってハイカーは収入源でもある
しかし、多くのトレイルエンジェルたちは無償、または寄付制でハイカーをもてなしてくれます。
スルーハイキングの経験者ではなく、資産家でもない人たちが、信じられない量の食料をハイカーのために買いこみ、宿泊場所を提供し、洗濯までしてくれる場合もあります。
ここがハイキングカルチャーの面白い点です。
寝床、食事、シャワー、洗濯、全てを提供してくれる
ハイカーとエンジェルの対等な関係
ヒッチハイクしたらバイクが停まったので、まさかの二人乗り
私個人としては、サービスを受けたら相応の対価を払いたいと思っています。
ヒッチハイクに関しても、英語が堪能でない私は、車中を賑やかすこともできませんし、小汚いハイカーを乗せるメリットは相手にありません。
他に交通機関があるのならそちらを優先するべきだし、どうしても必要なら相応の運賃を支払いたいと思っています。
しかし、エンジェルたちはしばしばお金を受け取りません。
お互いに過剰な接待をしたり、施しを受けたような気分になることもありません。
これは、ハイカーもトレイルエンジェルも、人生を楽しむという点において対等であるからだと考えています。
自分の人生を楽しむという点では同じ主体であり、自分が楽しむことと、相手を楽しませることは矛盾しません。
見返りを要求し善意を押し付けるような「おもてなし」とは異なる、人間らしい関わりが、スルーハイキングの醍醐味だと思います。
髪を切ってくれとバリカンを手渡された
ハイカーとトレイルエンジェルで築き上げる文化
有名なトレイルには必ずと言っていいほど、面白い宿や個性豊かなトレイルエンジェルの存在があります。
昨今のロングトレイルブームで、日本では新たなロングトレイルが次々と誕生しています。
ただ歩くためだけのトレイルではなく、様々な人の手によって支えられる豊かなトレイルが誕生することを、世界のハイカーは心待ちにしています。