「コロナ禍や長雨でなかなか山に行けない」、「家の中にいて暇を持て余してい」、そんな方も多いのではないでしょうか。
そんなときはMYOG( Make Your Own Gear )がおすすめです。
秋の夜長に、のんびり山道具を手作りして、次の山行に備えてみるのはいかがでしょう。
山道具の制作を通じて、より豊かな山行をしてみませんか。
MYOGとは?
MYOGとは、Make Your Own Gearの頭文字です。DIYの登山用具版といったところで、自分で登山用具を作ることをいいます。
アメリカのロングレイル文化に根付いており、自作のバックパックやタープなどを使って、トレイルを歩いている人たちがいます。
私もアメリカのPCT(Pacific crest trail)を歩いているとき、自作のバックパックを使っているハイカーを見て憧れ、日本に帰ってからMYOGを始めました。
MYOGをしているアメリカのハイカーは、バックパック、テント、寝袋、ジャケットなど、布製品はほぼ自作しており、当時の私には眩しくうつりました。
作って楽しめば、自分だけの山行になる
MYOGのメリット
一見複雑なものでも、紐解いてみるとカンタン
既製品を買ってしまえば済む登山用品ですが、わざわざ自分で作るのにはメリットがあるからです。
節約できる
登山用具は命を守る道具なので割高です。しかし、小物入れや財布など機能に対して値段が著しく高いものもあります。
ミシンや裁縫道具の初期投資さえすれば、材料の値段は大したことはありません。作れば作るほど、登山道具への出費を減らすことができます。
道具の構造を知ることができる
一見複雑そうに見えるバックパックやテントも、解体して考えるとさほど難しくはありません。構造を知っていれば、洗濯ができるのか判断がついたり、壊れてしまったときに自力で修理できます。
自分好みにカスタマイズできる
既製品とは違い、サイズや素材を自分で選ぶことができます。また、ファスナーや紐、バックルに至るまで、好きな色を組み合わせて山道具を作ることができます。
小物類は作ると驚くほど安い
必要な道具や材料
楽天で買った家庭用ミシン(¥12,000)
MYOGを始めるにあたって私が最初に揃えた道具は、
・家庭用ミシン(¥12,000)
・裁縫セット(小学校の家庭科で買わされたもの)
だけです。
実家に眠っていたミシンもありましたが、テンションを上げるためにミシンは自分で買いました。今の家庭用ミシンは直線縫いだけでなく、ボタンホールの穴やジグザグ縫いなどの機能も備え、一台あれば薄手のものはすべて作ることができます。
初めてのバックパックは家庭用ミシンで
小学校のときの裁縫道具を今も使っている
材料はインターネットを利用して集めたり、手芸ショップのトーカイやユザワヤで買い集めました。必要なものは
・糸
・生地
・副資材(バックルやコード)
です。
日本でアウトドア用の資材を扱っている、
アウトドアマテリアルマート https://outdoormaterialmart.jp/
で一括して揃えると簡単。XPACやDCF、シルナイロンなど高機能素材を扱っていて便利です。やや割高ですが、海外から生地を輸入する手間が省けます。
糸は30番、針は14番あたりを使えば無難
作り方とパターン
ネットで落とした無料の型紙を使う(帽子)
道具や材料が揃ったら、あとは作り方を知るだけです。
・縫製の仕様(細かい縫い方、縫い代の始末など)
・パターン(型紙)
を入手する必要があります。
簡単な小物類なら自分で設計図を書くこともできますが、ネットで検索すれば仕様、パターンともに容易に手に入ります。入手したパターンを自分用のサイズにアレンジすればオリジナルの山道具になります。
寝袋を作ったときのオリジナル設計図
バックパックやタープなど複雑なものを作りたいときは、制作キットを使うと楽です。
ウルトラライトバックパックの元祖とも言えるレイ・ジャーティンが作るRayWayバックパックのキットは、ガレージブランドオーナーの登竜門です。
Ray-Way Products https://www.rayjardine.com/ray-way/index.htm
パターンと縫製の仕様だけでなく、生地やバックル、肩のクッションなど全部入りで、おまけに生地の色も選ぶことができます。
値段も安く(送料含めても2万円以下)、勉強代+バックパックが2万円で手に入る驚きのセットです。
アメリカから取り寄せたRay-Wayキット
実際に作ってみる
材料・道具が手に入ったら、あとは作ってみるだけです。制作のコツは
急がばまわれ
です。
たくさんの工程があるバックパックなどは、ついついズレや失敗を放置しがちです。そのズレが最後に致命的なダメージを与えます。
面倒ではありますが、間違えたら糸をほどいて縫い直す、まち針やしつけ糸を使うことをしっかり守れば、誰でも登山道具を作ることができます。
完成したら山で使ってみましょう。
いつもの山行が何倍にも輝いて見えます。
手作りのタープで寝起きする幸せ(奥多摩小屋)
MYOG作例集
MYOGにハマって以来さまざまな道具作りに明け暮れました。
すべて家庭用ミシンで作ったものです。時間さえかければなんとか作ることができます。
バックパックは作って試してを繰り返した
ボックス構造のダウンシュラフ
好きなサイズのタープを作れる
見様見真似で服も作れる
MYOGで自分だけの山行を
ロングトレイルやハイキングは、決められたコースを歩くだけなので退屈なこともあります。
しかし、自分で作った道具で旅をすることによって、お決まりのハイキングコースもいつもと違った景色になります。
楽しまされるハイキングから、自分の力で楽しむハイキングに変わることがMYOGの醍醐味です。