gear, Ski

スキー用シールのあれこれ

バックカントリースキーを始めるにあたって、必要な道具は山程あります。

ビーコン、ゾンデ、スノーショベルを始め、ツアービンディングやクライミングサポート、ヘルメットなど、費用と道具の知識が不可欠です。

その中でもバックカントリースキーの基本の道具が、クライミングスキン(スキーシール)です。

ただし、シールは選ぶのも一苦労。

沢山の種類があり値段も高く、これから買おうと思っている人にとってはやや敷居が高いです。

ですが、一度買ってしまったら冬山の行動範囲が一気に広がります。

今までスノーシューを使っていた人は、行動範囲が2倍以上に広がるでしょう。

この記事では、スキー用シールの最低限の知識を紹介しています。

クライミングスキン(以下シール)って?

シールは、スキー板の裏に貼り付けることによって、斜面を登れるようにする道具です。

スキー板のまま登ろうとすると当然後ろにずり落ちますが、シールの毛が雪に引っかかることである程度の斜面を登れるようになります。

後ろに抵抗がかかり、前に滑ることができるため、シールを貼ったり剥がしたりせずに、雪山を移動することができます。

滑走する際にシールを剥がせば、通常のスキーのように滑ることができます。

日本で購入できるメーカー

スキー用シールのメーカーは主に6種類。

ブランドによって特徴がありますが、どれを選んでも大丈夫です。

以下のコメントは私の主観になります。

  • BlackDiamond:粘着力に優れタフなイメージがある
  • G3:テレマークビンディングも作るブランドで安心感がある。グラフィックが特徴的
  • colltex(コルテックス):老舗メーカーだが革新的
  • pomoca(ポモカ):シール同士の貼り合わせが便利、軽量で色が可愛い
  • contour(コンツアー):地図のグラフィックなどが特徴的、やや高い
  • gecko(ゲッコ):吸盤で貼り付けるモデルで有名

シールの選び方①素材

同じメーカー内でも様々な種類がある

同一メーカーの中でも、大抵4~5モデル出ているため悩ましいです。

迷ったらミックスタイプを選んでおけば間違いはありません。

  • ナイロン耐久性重視のシール、嵩張る
  • モヘア:アンゴラ山羊の毛を使った携帯性、グリップ、滑走性を重視したシール
  • ミックス:ナイロンとモヘアの混合シール。迷ったらコレ

シールの選び方②幅、長さ

シール選びの敷居を高くする要因の一つが幅、長さです。

幅が足りないシールは、登るときにつるつる滑って大きなストレスになります。

幅、長さともに大きめのサイズを選んでおけば、調整が可能です。

面倒な場合はスキーショップの店員に選んでもらうのが一番です。

¥1000程度でカットもしてくれます。

シールの選び方③テール(末端)の固定方法

シールのテールを固定する方法は一般的に2種類です。

  • カムロック式

一般的なスキーシールについている固定方法です。

一点でシールを固定するため、シールと板の間に雪が入り、気が付かないうちに外れていることがあります。

自分で長さ調節できるカムロックセットは、ハトメを打ち込むことによって短いスキーにも合わせることができます。

  • 張り流し式

テール側は固定せずに、シールを貼り付けるだけの方法です。

板としっかり密着していると、カムロックで留めるよりもトラブルが少ないです。

シールの選び方④接着方法

蛇腹に折りたたんでいる様子

接着方法には2種類あります。

  • 接着材式(グルー)

かつては主流だったグルー(糊)方式で、板にしっかりくっつきます。

ベタベタするため、扱いやメンテナンスは面倒です。チートシート(糊面をまもるための保護シート)の携帯が必須なため、かさばります。

  • 吸盤式

接着剤を使っていないため、扱いやメンテナンスが容易です。

現在はこちらを使っている人が多そうですが、粘着力で劣ります

シール同士を貼り付けて持ち運ぶことができるのが最大のメリットです。

シールカット

長さを調節できるカムロックセット

スキーショップが身近にない場合は自分でシールをカットします。

初めての場合、1時間半程度の時間は見ておいたほうがいいでしょう。

スキーシールは板ごとに必要なため、たくさん板を持っている人は自分で切ったほうが安上がりです。

シールカットの手順① 先端のカット

板が雪に触れない部分をカットして取り除きます。

シールのグリップ力は、スキーブーツの真下が一番重要になります。

ロッカー形状のスキー板などは多めにカットして軽量化を図るのも手です。

シールカットの手順② 末端のカット

カムロックパーツを取り付けるためには、だいたい3cm~6cmの余白が必要です。

貼り流しの場合は、スキー板のテールが反り上がる手前で丸くカットします。

シールカットの手順③ 末端にテールパーツを取り付ける

カムロックを自由に取り付けられる場合は、ハトメを使ってパーツを取り付けます。

メーカーによってテールパーツの取り付け方法が異なります。

シールカットの手順④ シールをカットする

シールを板に貼り付け、はみ出した部分を専用のトリミングツールでカットします。

エッジを露出させる必要があるため、

片方をカットした後、エッジの幅の2倍分をずらして、もう片方をカットします。

これが若干わかりにくいので、注意してカットします。

G3のトリミングツールを使うと、シールをずらす必要がなく、自動でエッジを露出した状態にカットすることができます。

トリミングツールがない場合は普通のカッターでも代用可能です。

シールの毛がほつれる場合は、ハンダゴテで溶かすか、ライターでさっと炙ります。

片方をカット後、エッジ2倍分ずらしてもう片方をカットする

シールにまつわるトラブル集

シールをカットして実際に使ってみると、予期せぬトラブルが発生します。

トラブルは命の危険に直結するため、最初は難易度の低いルートを選び、シールの様子を見ます。

  • スキー板のサイズに合っていない

スキー板の幅よりも小さいシールを使うと、ズリズリと滑り落ちてしまいます。

登坂力は安物のスノーシュー以下になり、山の中でスキー板を捨てて帰りたくなります。

ショップの見切り品で、幅の細いシールを安く買うのは絶対に避けましょう。

シールだけはサイズのあったものを買わないと、山の中で地獄を見ます。

  • テールフックが外れる

ツインチップの板でなくともテールフックが外れることがあります。

板とシールの間に雪が入ったり、スキー板がぶつかった衝撃でいつの間にか外れていることもあります。

もし頻繁に外れる場合は、張り流しに変更するか、G3のツインチップコネクタを使います。

  • 粘着力の低下

使っているうちにホコリやゴミが付着して、粘着力が低下します。

使い終わったらきちんと乾燥させて、粘着力が落ちてきたらグルーの張替えをします。

  • シールに雪がつく

湿った雪の場合、シールに雪がくっつきます。歩くたびに雪が団子状にかたまり、まともに歩けません。

諦めてツボ足で歩くか、事前にシール用の撥水スプレーをかけておきます。

  • チートシートが風に飛ばされる

糊面を保護するチートシートは、暴風雪のなかでなくしがちです。

シール同士を貼り付けて持ち運べるものが、撤収も早くおすすめです。

雪山散策の範囲を一気に広げる

スキー用シールを導入することで、行動範囲が一気に広がります。

今までスノーシューを使っていた人は、その便利さに驚くでしょう。

ただし、メンテナンスやカットなど若干敷居が高いのも事実です。

正しい知識を身につけて、安全に雪山を楽しみましょう。

Privacy Settings
We use cookies to enhance your experience while using our website. If you are using our Services via a browser you can restrict, block or remove cookies through your web browser settings. We also use content and scripts from third parties that may use tracking technologies. You can selectively provide your consent below to allow such third party embeds. For complete information about the cookies we use, data we collect and how we process them, please check our Privacy Policy
Youtube
Consent to display content from - Youtube
Vimeo
Consent to display content from - Vimeo
Google Maps
Consent to display content from - Google
Spotify
Consent to display content from - Spotify
Sound Cloud
Consent to display content from - Sound