登山のウェアはとても値段が高い。高いけれど10年、20年使えるものもあります。
未だに愛着を持って着ている10年前のウェアもたくさんあります。
ここでは、あまりお金を掛けずに、かかったとしても充分にもとが取れて着る度に嬉しくなるようなアウトドアウェアを、ランキング形式にして紹介していきます。
アウトドアウェアは色が鮮やかで気持ちも弾む
選択の基準
ランキングを選出するにあたり、ウェア選びで大切だと思う点を挙げます。
洗濯機で洗える
ロングトレイルの場合5日間程トレイルを歩いて街で洗濯できますが、着倒したものを洗わずにまた翌日着ることは考えられません。匂いが気になるのはもちろんのこと、さっぱりした気分にならないのです。
ダウンウェアは通常の洗剤を使うと、ダウンの油分が取れて保温力が落ちてしまいます。そこで、洗濯機でも洗える化繊の綿のもの(プリマロフトやシンサレート)を保温着として使い、ウールのシャツやレインウェアも街に売っている洗剤で毎回洗います。
アウトドア用のウェアは、専用の洗剤やおしゃれ着用の洗剤でしか洗えないと思っている人もいますが、耐久性を謳うアウトドアウェアはそこまでデリケートではありません。天然素材であるダウンや、洗剤の粉末が繊維に入り込みやすいレインウェア意外は、そこまで神経質になる必要はないのです。
臭くならない
匂いが残りやすい素材は化学繊維です。ナイロンやポリエステル素材は皮脂を吸着しやすく汚れを留めてしまうため、長時間着ていると、とんでもない匂いを発するようになります。
そこで肌着には匂いにくいウール素材を用いたり、化学繊維だとしても、なるべく不快な匂いがしないものを選んでいます。
着心地がよく不快感がない
縫い目やタグが一度でも気になりだすと、慣れることはあまりなくずっと気になり続けてしまいます。
快適に旅をするためには、不快感のないものを選ぶ必要があります。
縫い目はもちろんのこと、
- 襟ぐりのサイズが小さすぎて首がしまった状態になる
- 汗をかいたときに生地が肌に張り付いてしまう
- 足や腕を上げたときに生地が突っ張る
- ファスナーの金属部分が肌に当たる
- ポケットの位置がバックパックと干渉する
- 丈が短くて背中が出る
など気をつけたい点がたくさんあります。
ガンガン洗濯できるものを選ぶ
【10位】ミニマスジャケット Montane
カテゴリ レインウェア
価格 ￥29,700
質量 160g
軽量化に執拗にこだわったレインジャケット
3層構造（表地、防水膜、裏地）の生地を使っているのに驚きの160g、Tシャツよりも軽いです。
軽量レインウェアは一般的に2.5層(表地 + 防水膜 + 裏地の代わりに別の素材を吹き付けたもの)の生地を使っています。裏地は肌に直接触れるものです。生地ではない別の素材をコーティングのように吹き付けた素材だと、肌触りが悪く、汗をかくとベタベタしています。
このモンテインのレインジャケットは、ちゃんとした裏地をもちつつ、軽量であるという点で優れています。
ここまでするか、というくらいかなり切り詰めた軽量化をしてあり、感心するようなギミックが散りばめられています。モンテインの軽量化へのこだわりを具体化するようなジャケットです。
軽量な分色々なところで不便なところもありますが、それも割り切れる人にとっては最上の選択肢だと思います。
ここが惜しい
-
裾や袖口がベルクロではなくゴムなのでずり上がる
-
熱圧着を多用しているため耐久性が心配
ウエストがゴムなので、どうしてもずり上がってくる
高温で乾燥機にかけると、熱圧着は剥がれるので注意
【9位】ポータブル ダウンパンツ NANGA
カテゴリ インサレーション
価格 ￥9,147
質量 200g
肩肘張らずにザックにほうり込めるダウンパンツ
ダウンパンツは高価なものが多く、だいたい2万5000円前後が相場ですが、このダウンパンツは安いです。安いので破れや汚れも気にせず使うことができます。
一応インナーダウンパンツというカテゴリですが、インナーとして使うとかなり着ぶくれするので、アウターとして使っています。アウターにはやや心もとない生地感ですが、安いし温かいので重宝します。
キャンプではなく普段布団で寝るときに着用すると、かなりぐっすり眠ることができます。
ここが惜しい
- ゴム紐が抜ける
- ジッパーが噛む
【8位】ナノエア フーディ patagonia
カテゴリ ミッドレイヤー アウター
価格 現行品￥34,650
質量 318g
子どもの頃から使っているタオルケットの様な、魔法の着心地
ストレッチする化繊綿をつかっているため、どんな動きにも対応しストレスがありません。生地の触り心地が最高で、他のメーカーの類似製品とは一線を画しています。
とにかくずっと着ていたい、くるまれていたいと思えるような着心地です。冬が到来すると、やっとナノエアが着れる！と嬉しくなります。
着るだけでなんだか安心するウェアとしてはNo,1です。それほど着心地がいいです。試着したらつい買ってしまうので要注意。
汗抜けもよく、運動中も休憩中もずっと着続けられるというコンセプト通りの製品です。気軽に洗濯できる点も◎
ここが惜しい
- 毛玉が猛烈にできる
- ジッパーが噛む
- 重い、収納サイズが大きい
あまりの着心地の良さに2着目（フードなし）を購入
アウターのスキーウェアと擦れると毛玉がたくさんできる
【7位】スーパーメリノウール M.W. タイツ Men’s mont-bell
カテゴリ アンダーウェア
価格 ￥6,700
質量 160g
ウールなのにこの値段、複数持ちに丁度いい
これと言って目立つ機能はありませんが、値段も安く充分です。
インナーとしてピッタリ、とにかくよく働きます。
薄手なのに温かいので、夏用の薄いトレッキングパンツの下に履けば、暖かく冬でも厚手のトレッキングパンツが要りません。
ここが惜しい
- 穴が空きやすい
【6位】キャプリーンシルクウェイトボクサー patagonia
カテゴリ アンダーウェア
価格 現行品￥4,070（エッセンシャル・ボクサー）
質量 91g
１０年使える高コスパアンダーウェア
一度買ったら10年以上使えるアンダーウェアで、破れる気配がありません。普段使いから登山まで使えて、ずっと下半身を守ってくれています。さらりとした履き心地で汗離れもよく、汚れも付きません。
ボクサータイプですがピタッとした感じではなく、トランクスのようなので汗ムレもありません。
値段が高いのでセール中にまとめて買うのがベスト。安いアンダーウェアを頻繁に買い換えるよりも、少しいいものを長く使ったほうが安上がりです。
ここが惜しい
-
ウェストゴムがくるくるになる
【5位】ロフォテン プリマロフト170 ショート グローブ NORRONA
カテゴリ バックカントリー用グローブ
価格 ￥17,600
質量 120g
しなやかでつけた瞬間に心まで温まる
バックカントリー用のウェアを開発するノローナの高級グローブです。
特筆すべきはしなやかさで、手を入れた瞬間にふわふわの綿に包み込まれるような感覚を覚えます。充分なロフトもあり、暖かく、スキーやスノーハイキングでは手放せません。
洗濯機で洗える、メンテナンスが簡単
HESTRAというメーカーの革グローブも使っていましたが、メンテナンスが面倒でした。道具をこまめに整備するのが面倒で、気づいたときには穴だらけになってしまいました。
匂いも臭いしメンテナンス用の革用WAXがストックについてベタベタするので革は二度と使いません。一方ノローナのグローブは汚れたら洗濯機にポイすればOK。
乾燥機にかければバッチリふわふわになります。
ここが惜しい
- 付属のストラップが細すぎて高確率で手が抜けなくなる
手のひらもゴートスキンを使っていてしなやか
【4位】バーサライトパンツ mont-bell
カテゴリ レインパンツ
価格 ￥9,500
質量 83g
破れても汚れても、いざとなったら買い換えればいい超軽量レインパンツ
上の写真はハーフパンツに改造したものです。
軽量なレインウェアを他のブランドで買うと2万円前後は平気でしますが、さすがのモンベルだけあって安いです。レインジャケットに比べてレインパンツは破れる可能性が高いので、この値段は繰り返し買うのに丁度いいです。
ニューモデルはゴアテックスウインドストッパー
古いモデルのものはモンベルオリジナルの生地を使っていて防水膜がすぐ剥がれましたが、ニューモデルはゴアテックスウインドストッパーを使っています。
以前のものに比べたら耐久性も上がり、防水膜が剥がれる心配も減りました。
破れたら半ズボンにする
裾の部分がボロボロになってしまったら膝から下を切り落として縫い直し、ハーフレインパンツにしてしまいます。
半ズボンで登山する真夏の登山では重宝します。この値段なら切り落としても心がそこまで痛みません。
ここが惜しい
- シルエットが太いため風でバタバタする
- 収納袋が別
雪が少ないときは、雪山用のハードシェルの代わりになる
【3位】メリノ150ベースレイヤーショートスリーブ smartwool
カテゴリ トップス
価格 約￥9,000
質量 133g
着の身着のままで臭わない
ウール87％ ナイロン13％とナイロンが入っているのにも関わらず匂いません。ナイロンやポリエステルが少しでも入っていると匂いがきつくなってしまう製品は多いですが、この製品はなぜか匂いません。それだけウールの性質がいいのでしょうか。
5日間ずっと着ていても、我慢できるレベルの匂いに抑えてくれます。
ナイロンが入っているためウール100％に比べて若干耐久性があります。
他のウールメーカーと比べて素晴らしいのはその着心地です。アイベックス、アイスブレーカーは両方とも首が詰まるような感覚と、縫い目が当たる感覚がありますが、スマートウールのものは不快感がありません。
ここが惜しい
- 肩と腰がどんどん薄くなり服の上から蚊に刺されるようになる
- 穴が空きやすい（どのウール製品にも言える）
2ヶ月くらい使うとこのくらい薄くなる
下はアイベックスのシャツ、縫い目の違いが明らか
【2位】R1 フルジップジャケット patagonia
カテゴリ ミッドレイヤー
価格 現行のプルオーバータイプは￥17,600
質量 380g
『ちょうどいい』を極めた暖かさ
内側がグリッド状のフリースになっていて、表面に起毛感はありません。一見するとジャージのような感じです。パタゴニアを代表するフリースです。
Tシャツの上に羽織ると風が抜けて、まるでロンT一枚で登山をしている様な気分になります。
少し寒くなってきたらウインドブレーカーを羽織ると、急に暖かくなります。グリッド上のフリース内部に空気がたまり、フリース本来の暖かさを感じることができます。このバランスが絶妙で、使い勝手がいい。
耐久性も抜群で、１０年以上使っています。新品に比べたらフリースのヘタリはありますが、まだまだ使える予感がします。
ここが惜しい
- 手洗いだと乾燥がとんでもなく大変
- 重い、かさばる
上が10年前に購入、下は最近のもの そこまで劣化していない
残雪期のハイクアップにピッタリ
【1位】ハイカー マイクロクルー ミッドウェイト クッション DARNTOUGH
カテゴリ ソックス
価格 ￥2,500
質量 約100g
永久保証で靴下には一生困らない
この靴下のセールスポイントは、穴が空いたら新品に無料で交換してくれることです。つまり、最初に購入したときの値段だけで、何度も何度も新しい靴下を手に入れることができます。定価はやや高いですが、性能もいいので後悔はしません。
半年クラスのロングトレイルを歩いた場合、2つ靴下を使いまわしてもニカ月程歩くと両方穴が空きます。
最初にダーンタフの靴下を買っておけば、無くさない限りずっと使い続けることができます。
そもそもタフ
メーカーも耐久性には相当な自信を持っているようです。実際普段使いで半年履いたとしても穴は空きません。
交換した経験がある人はロングトレイルハイカー意外では見たことがありません。週に何度かしか履かないのであれば交換しなくても一生使えます。
臭わない
ナイロンが入っているのにも関わらず、匂いはあまりしません。5日間の旅で3日目くらいにようやく臭ってきますが、靴下を脱いで翌朝になると匂いは消えています。
ウール恐るべし。
ここが惜しい
- 交換の手続きが面倒くさい（オフィシャルサイトからメールのやり取りする必要がある）
- 交換すると高い確率で渋い色のものがくる
ウール抜けは交換の対象にはならない、穴が開くまであと一年はかかりそうだ
心からリラックスできるウェアを
ウェアは肌の露出を避けたり、体温を調節したりと大切な装備ではあります。
しかしそれ以上に大切なのが、ウェアを着ることによる安心感です。
しっかり身を守ってくれて、高ぶった気持ちをホッと和らげてくれるウェアこそが、最高のウェアだと思います。
命を預けるウエア選び
誤ったウェアの選択で、命の危険に晒されることもあります。急激な天候の変化を想定に入れた上で、
- 「全部着込めばなんとか一泊はできる」
- 「このウェアが濡れたら死につながる」
- 「完全にビショビショになったときはこのウェアで対応する」
など、入念に準備することが大切です。
山小屋も他のハイカーもいないたった一人の状況で、これはマズイなと思いながらも必死に生きる術を考えてる状況に、ニヤつくほど興奮するときもあります。
