商品撮影やインスタグラム用の写真を撮るために、新しいカメラを買いました。
香港から3週間程度かけて輸入、先日ようやく到着して嬉しくてしょうがありませんでしたが、唯一カメラストラップが気に入らない‼︎
資材もあるのでカメラストラップを自作してみることにしました。
この記事はカメラストラップの製作風景を紹介する記事です。
「アウトドア用品って実際に作れるの? 」「バックパックって自分で縫えるの?」という声をよく聞きます。大体こんな感じで作っているよ、という紹介をしたいと思います。
また、アトリエが長野の山奥にあるためなかなか足を運んでもらうことができません。アトリエの雰囲気を少しでも楽しんでもらえればいいと思います。
アウトドア用具を作ってみたい人はもちろん、chant!の商品がどうやって作られているのか気になる人に読んでもらえると嬉しいです。
完成した2種類のカメラストラップ
大まかな手順
「純正のストラップはサイズ調節がしにくい」
「撮影するときにレンズキャップをどこにしまったか忘れてしまう」
「持ち歩くのが楽しくなるようなデザインがいい」
など、純正のストラップへの不満をもとに、作りたいカメラストラップ像を想像します。そのあとは以下の工程を踏んでいきます。
デザインを考える
散歩中や入浴中、寝る前、他の商品の製造でミシンを踏んでいる時間に、頭の中で細かい部分まで想像していきます。そろそろ作れそうだな、と思ったら作業に入ります。工程が複雑なバックパックなどはiPadにタッチペンでメモをしていきます。
細かな寸法を決めていく
純正のストラップの長さを参考にして細かな寸法を決めていきます。パターン作成用のパソコンソフト「パタパタモードくん」を使って、パターンを作成しプリントアウトします。
資材の調達
今回は別途購入せず、アトリエにあるものを使って製作しました。
生地の裁断
印刷したパターンをもとに、生地を裁断していきます。1番神経を使う作業なので、大量に裁断するときは前日に睡眠時間をしっかり確保します。エナジードリンクも飲んで気合いを入れます。
刺繍
カメラストラップに刺繍を入れることにしたので、刺繍作成ソフト「刺繍プロ10」を使って刺繍を製作します。愛着がわくものにしたかったので、新しくデザインしました。Adobeのイラストレーターでパスを引き、そのデータを刺繍プロで刺繍にしていきます。
縫製
失敗しないように丁寧に縫製していきます。ラジオや音楽を流しながら軽快にミシンを踏んでいきます。
組み立て
出来上がったパーツを集めて組み立てていきます。プラスチックのホックの取り付けや補強もこの段階でしていきます。
検品
気がつかないうちにミシン糸が生地から外れていたり、アホ毛が飛び出していたりするので、もう一度見渡して手直しします。
取り付け
カメラに取り付けます。製作したストラップを取り付けます。ついでにストラップの写真撮影もしました。
以下は主な工程や工具を紹介していきます。
これが純正ストラップ 使い勝手と質感が好みではない
資材の調達〜裁断
今回は自分用にカメラストラップを作るので、アトリエにあるものを使用しました。
生地は軽量で強靭なXPACという生地です。縦糸と横糸の他に、ポリエステルを撚って太い紐にしたものをX状に張り巡らせている生地です。chant!の名刺入れや財布にもこの素材を使っています。ハリがあって伸縮性のない、面白い生地です。
パターンから生地を裁断する時には、地の目(横糸と縦糸の向き)に気をつけながら鋭角のカッターで切り出していきます。大量に裁断する場合は生地を何枚か重ねて一気に切り出します。
XPACという軽いのに高強度な生地
パターン通りに切り出す
刺繍
もともと刺繍が大好きでよく手縫いで刺繍をしていました。そのため、ブランドを始めるにあたり1番最初に刺繍ミシンを導入しました。
パソコンソフトを使って刺繍データを作るのに大体1日ぐらいかかりますが、刺繍が好きなのでつい没頭してしまいます。
糸の間隔や密度によって刺繍の質感が変わってくるので、何度も繰り返して納得のいくものを作ります。
左のクマの後にリンゴ、どんぐりの刺繍を入れたが、小さすぎて糞に見える
宇宙船のような見た目の刺繍機 メルカリで中古で買った
完成したクマと山 少し生地にシワが寄ったので後ほど調整する
縫製
縫製は工業用のミシンを使っています。糸や針の太さを決めて試しぬいをした後縫っていきます。
ミシンに使う押さえのアタッチメントは、種類がたくさんあって面白いです。縫い方にあわせて押さえを変えます。
本縫い用ミシン これは信頼できるミシン屋さんから中古で買った
外周を縫ったあと生地を裏返す まるで蛇の抜け殻
ようやくクマが現れた
組み立て〜検品
縫い終わった生地以外のパーツを作っていきます。
紐を切り出し、プラスチックのバックルを取り付け、ホックをつけます。大切なカメラが落下してしまわないように、負荷のかかる部分には補強を施します。
ここまでくればほぼ完成ですが、その前に一度検品をします。最近はまち針を使わないので針の混入はありませんが、体に触れるものなので異常がないか隈なくチェックしていきます。
右のハンダゴテのような器具を使ってロープを熱で切断していく
プラスチックのホックを付ける器具
バックパックなどでみるギザギザの補強をするミシン ヤフオクでゲットした
大切なカメラが落ちないようにしっかり補強を施す 一発勝負なので緊張する
完成!
カメラに取り付けたら完成です!
レンズキャップの袋を引っ張ると、ストラップの全長が短くなる仕組みです。両端にプラスチックのバックルをつけサイズ調整に幅を持たせたので、斜めがけする方法や首にかける方法、二通りで使えます。
黒い生地に白くまと雪山は太さ25㎜の細め、白い生地の方は35㎜の太めにしました。気分によってストラップを簡単に変えたいので、取り付けはプラスチックパーツに紐を通すだけの簡単仕様にしました。
これで雪景色を撮影しにいく準備が整いました‼︎
ついに完成 さわり心地がしなやかで軽い
黒い生地にシロクマと雪山が映える
右のプラスチックパーツを引き上げると、長さの調節が容易にできる
ここから商品化への道のり
今回は自分用にカメラストラップを作ったので、後はテストをして使い勝手を見るだけです。
もし商品化を目指すとなると、部材の発注や生地の歪みの修正、細かい仕様の決定などやるべきことが山ほど出てきます。
まずは、本当に自分が使って満足するものになったのか、そのテストを入念にするつもりです。