この記事はヨーロッパの巡礼トレイル、カミーノ・デ・サンティアゴについて紹介しています。前編をご覧の上、後編をお楽しみください。
実際に歩いた
- フランス人の道
- ル・ピュイの道
- 北の道
- プリミティボの道
- 銀の道
- フィステーラの道
について道の特徴、歩いた感想などを紹介していきます。
フランス人の道
距離:約780km(サン・ジャン・ピエ・ド・ポー~サンティアゴ)
標準的な日数:約35日
フランス人の道とは
カミーノの中でも最も有名なのが「フランス人の道」です。はじめてカミーノを訪れる人はたいていこの道を選びます。
見どころはスペイン・フランス国境のピレネー山脈超えやレオンやパンプローナといった大都市。
カミーノの中で最も巡礼用のインフラが整った道で、宿やバルも多く、初心者に人気です。
実際に歩いてみて
初めてのカミーノでフランスのル・ピュイから歩き、「フランス人の道」に入りました。
「フランス人の道」の最初の大都市であるパンプローナという街についた段階で嫌気がさし、電車で移動して「北の道」を歩くことにしました。
フランス人の道を歩いたのは3日間だけでしたが、短期間で十分満足したので未練はありません。
離脱を決めた理由は、
- とにかく人が多い
- いちいち巡礼の理由を聞かれて面倒くさい
- 大学のサークルのようなノリ
です。カミーノの映画の影響でしょうか。
巡礼路には人があふれていて、ボーっと歩くこともできません。おまけに宿は超満員、常にベッドの争奪戦が繰り広げられており、安い宿に泊まるためには朝早く出発しなければなりません。
巡礼者の合言葉「ブエンカミーノ(よい道を!)」という言葉に至っては1日に100回以上繰り返さなければなりません。
仕事をリタイアして歩きにくる人が多く、たいていの人が身の上話をしたがり、ひとりで歩いていると格好の話し相手になってしまいます。
私が歩いたのは6月頃の人が割と多い時期でした。もし歩くなら人の少ない冬に歩くことをおすすめします。また、ワイワイ楽しみながら歩くのが好きな人にはいいかと思います。
おすすめ度:☆
最初にピレネー山脈を越える
清潔だが収容所のような宿泊施設
自転車で巡礼する人が増えて、ゆっくり歩くこともままならない
ル・ピュイの道
距離:約750km(ル・ピュイ・~サン・ジャン・ピエ・ド・ポー)
標準的な日数:約35日
ル・ピュイの道とは
フランスのル・ピュイという都市から歩き始めるルートです。
フランスのハイキングルート、GR65として整備されているために、シングルトラックの割合が多く、山歩きを楽しむことができます。人も少なく、カミーノを2回、3回と歩いている本気の人が多いです。
実際に歩いてみて
初めてカミーノがこのルートでしたが、一番印象深い道です。
フランスの田舎道やハイキングルートを楽しめるのはもちろん、繊細なフランスの文化を味わうことができます。
教会の凝った作りや、フランスの田舎での生活風景、静かで聡明な人々など、あらゆる点で文化に溢れていて、感動が絶えません。
おすすめ度:☆☆☆☆☆
道路ではなく割とトレイルも多い
宿の子どもたちと仲良くなる
一人で歩いている人が多い
北の道
距離:約824km(イルン~サンティアゴ)
標準的な日数:約40日
北の道とは
寒々しいケルト海を見ながら歩く海沿いの道です。
海岸沿いの街はリゾート地や漁港、工業地帯が多く、街の規模は大きめ。
アップダウンが多く、健脚向けです。
船に乗って川を渡ったりイベントが多い印象がありました。
実際に歩いてみて
フランス人の道を早々にリタイアして北の道を歩くことにしましたが大正解でした。
フランス内部は山が多いため、久々に海を見るだけで気持ちがリフレッシュします。
かなりアップダウンが多い印象で苦労も多いですが、その分歩き終えた喜びも大きいです。私が歩いたときは気温はあまり高くありませんでしたが、夏なら海に飛び込んでリフレッシュできそうです。
おすすめ度:☆☆☆☆
海沿いのリゾート地を歩く
海岸沿いはアップダウンが本当に多い
海を見ながら歩けるのは気分がよい
プリミティボの道
距離:約260km(オビエド~)
標準的な日数:約15日
プリミティボとは
プリミティボとは「最初の」という意味で、原始の道とも呼ばれています。
山間部を歩くことが多く、舗装路はかなり少なめ。
2週間程度で歩けるために、長期間休みがとれない場合にもってこいです。
短いながらも十分巡礼の雰囲気を味わうことができます。
実際に歩いてみて
北の道を歩いていて、そろそろ山を歩きたいと思ったときにちょうどいいのがこの「プリミティボの道」です。
人もかなり少ない上に舗装路少なめで快適。山間部のため雨や霧も多いですが、サンティアゴへのフィナーレにふさわしい道です。
メリデという都市からは「フランス人の道」と合流し一気に巡礼者が増えるので覚悟が必要です。メリデからお試しで歩く団体の巡礼者も多いので、合流地のメリデからサンティアゴは早足で駆け抜けることをおすすめします。
おすすめ度:☆☆☆☆
山岳風景が広がる
雨が多い
フランス人の道よりは楽しめる
銀の道
距離:約960km(セビリア~サンティアゴ)
標準的な日数:約40日
銀の道とは
スペイン南部のセビリアという大都市からひたすら北上するルートです。
物流の道だったようで道幅の広い農道を歩くことが多く、日差しを遮るものがないためたいへん暑く、修行のような道です。
実際に歩いてみて
6月に歩きましたが、退屈な道と大変な暑さには苦労しました。
その分楽しみだったのが、バル巡り。
水分補給のために冷たいレモンビールを飲んで、ほろ酔い気分で道を歩くのが楽しみでした。
あまりの暑さに参ってしまったため、途中で離脱しました。
歩くなら冬をおすすめします。
おすすめ度:☆☆
とにかく暑い修業の道
イベリコ豚を見ながら歩き、夕飯はイベリコ豚を食べる
バルがあったらまずレモンビール
フィステーラの道
距離:約90km(サンティアゴ~フィステーラ)
標準的な日数:約4日
フィステーラの道とは
サンティアゴまで到着した後に、ちょいと海を見に行く気分で歩けるのがこのルートです。
サンティアゴはかなりの大都市で人も多いため、旅の終わりという感じがしません。
このフィステーラ(地の果て)まで歩くことで、落ち着いて感動のフィナーレを味わうことができます。
実際に歩いてみて
サンティアゴに到着してもまだ歩き足りない気分だったため、海までの道は丁度いい距離でした。
他の巡礼者たちも、旅の終わりを噛みしめるように静かに歩いているので心地がよく、気持ちの整理もつきやすいのでおすすめです。
私はテントを持ち運んでいたので、岬でテント泊をして朝日を望みましたが、サンティアゴについたときよりも感動的でした。
おすすめ度:☆☆☆
ようやく海が見える
使った装備を燃やす風習がある
岬でテント泊をして感慨にふける
フランスとスペインの文化を楽しむ
フランスといったらパリで観光、スペインでは闘牛を楽しむのもいいですが、田舎町でゆっくりと文化を味わうのもいいものです。
海外旅行をすると、観光をしただけでついついその国を知ったつもりになってしまいがちです。
地元のものを食べて、地元の人が働く様子を眺めて、少しだけその土地の生活を味わうことが、海外のロングトレイルを歩く醍醐味だと思います。